【試し読み】同僚にHな裏アカがバレた件: 口封じしようと思ったら何故か付き合うことになりました!?

夕暮れ寮シリーズ
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――やっちまった。
ベッドの上で正座して、スマートフォンを握りしめたまま、たっぷり十分ほど思考停止した。ジワジワと焦りと不安が込み上げ、手に汗が滲んでくる。頭が痛いのは二日酔いのせいばかりではないだろう。
(落ち着け。落ち着け……)
言い聞かせるようにそう思いながら、ゆっくりと深呼吸する。震える指をゆっくりとスマートフォンに滑らせ、アプリを起動させた。SNSのアカウントを開き、もう一度表示された画面を確認。
うわ、やってる。
(終わった――)
天井を仰ぎ見、頭を抱える。
やってしまった。やったなぁ? やらかした。
焦りと緊張と恐怖で、冷汗が出てくるし、腹が痛くなってくる。見間違いじゃない。どうやらマジでやってる。慎重にしてたのに、なんでこんなことしてしまったのか。酒に酔った状態でSNSなんか見るもんじゃない。渡瀬(わたせ)歩(あゆむ)の人生、一番の大失態だ。
俺は夕日コーポレーションに勤める、ごく普通の会社員だ。自分で言うのも何だが、人付き合いは良い方だし、人望はあるほうだと思う。明るく快活な性格で、仕事では頼りになる。――けど、そんな顔ばっかりしてたら、ストレスが溜まるじゃん。
だって俺の本性は性悪で、セックス大好きなビッチなんだもん。
表と裏の顔をうまく使い分けて、人生勝ち組の方に乗っかっていたと思ってたのに、昨晩酒を飲んで盛大にやらかしたらしい。かつて、酔っぱらって適当にひっかけた相手に、財布の中身を全部持っていかれて以来の大失態だ。いや、それよりも酷い。
昨日は夕日コーポレーションの同期四人で、飲み会だった。同期入社の寮組四人。つまり、星嶋(ほしじま)芳(よし)と押鴨良輔(おしがもりょうすけ)、榎井飛鳥(えないあすか)、そして俺の四人である。
星嶋が恋人を紹介してくれないということから始まり、榎井が最近バーチャルアイドルに嵌まっていると聞いた。良輔は今さらSNSを始めたらしい。結局、星嶋はどんな子なのかヒントさえくれず、榎井が好きなアイドルのチャンネルを登録させられ、全員で良輔のSNSをフォローした。
その時は、ちゃんと表で使ってる普通のアカウントだったはずだ。さすがに記憶は飛ばしてない。
ところが、今朝目を覚ましてなんとなくSNSをチェックしてたら、俺がエッチな自撮りとか曝してる裏アカの方で、良輔のSNSに「いいね」しまくってた。以上、説明終了。
(はい、終わった―――!)
気が付いて慌てて「いいね」を取り消したが、通知は行ってるだろうし、既に見られたかもしれない。本人が見て居なくとも、誰かが見たかもしれない。「変なアダルトアカウントに「いいね」された」、と思ってもらえたらまだマシで、正体がバレたらはっきり言って終わる。
スマートフォンを操作し、慎重に画面をスクロールさせる。良輔は早起きなのか、既に朝の投稿をしていた。はい、終わった。確実に見てる。
不幸中の幸いなのは、良輔がフォローしているのが俺たち四人以外はどこかの公式アカウントだけだということだ。
「いや、待て。良輔はSNS初心者だ。まだ何も解っていない可能性も」
良輔のアカウントを見る。あくまで何事もなく、普段通りの投稿をしている。内容は『おはよう。いい天気』だ。写真もない。シンプルというよりは良く解っていない投稿。動揺は見られない。気づいていないのか? いや、そんなの希望的観測過ぎる。絶対にバレた。
俺が投稿した写真は、一応加工してあって、顔が解るような投稿はさすがに存在しない。隠していると言っても、知ってる奴なら貫通するような投稿もある。くそ。
自分のアカウントに画面を切り替え、投稿を見直す。
『新しいオモチャ買っちゃった♥』と、バイブの写真とともにギリギリ見えないくらいの感じで挿入している姿を晒している写真。『みんなが下着見せてっていうからちょっとだけ♥』とか言いながら口元から太腿あたりまでが写るようにして、殆ど全裸(下着は着てるぞ。透けてるけど)の姿を晒している写真。『今日はいっぱいシテもらいました♥』などと言いながら手に着いた精液を舐めている写真。などなど。
どう考えても、アウトである。なんでBANされなかったんだ、このアカウント!
最近は俺のアカウントのファンも結構いて、フォロワーにリクエストされて脱いだり挿入したりと、過激な内容が多かった。もともとヤリモクで作ったアカウントだから、俺も堂々としたもんである。
「はは……、良輔、俺だって解ったかな……」
確認したいが、どう確認して良いか分からない。「このアカウント誰だか解る?」なんて聞けるはずはないし、「お前、変なのにいいねされてたな!」なんて言った日には藪蛇が過ぎる。
せめて星嶋や榎井であったなら、もう少し気楽になれたのに。星嶋だったら「バカかてめぇは」の一言で終わっただろうし、榎井だったら「は? 変なもん見せないでくれる?」で終わったに違いない。だが良輔はダメだ。アイツ、ピュアなところあるからっ……!
良輔は俺のことを、普通に『良いヤツ』と思っていたはずだ。プライベートな相談に乗ったこともあるし、一緒に遊びに行ったこともある。なんなら合コンに誘って女の子を紹介したことだってある。残念ながら今となっては別れてしまったようだが。
(良輔に限っては、拡散するなんてことはしないだろうけど……)
そう思った瞬間、脳裏に嫌な笑いを浮かべた男の姿が過っていった。
『誰にもヤらせるって聞いたんだけど』
『男とヤってるってマジ?』
ざらり、嫌な感情が胸を撫でていく。
人間の本性なんていざとなったら解らないものだ。『いいヤツ』だと言われていたアイツも、人気者だったアイツも、結局は同じだった。最初から暴力的だったり、攻撃的な言葉を発するヤツの方が、まだマシかもしれない。友人だと思っていても、解らないものだというのは、身に染みているはずだ。
良輔ならあんしんなんて保証は、どこにも存在していない。
(寮から出んのは、イヤなんだよね)
ハァと溜め息を漏らす。うちの寮は飯が美味いし、設備は新しいほうだから綺麗だ。ついでに家賃も安い。
「ひとまず、良輔の様子を見に行くかー……」
今日は日曜日だ。出掛けていなければ部屋に居るだろう。手土産に、アイツが好きなどら焼きでも買ってから行くことにしよう。
一度寮の外へ出て、近所の菓子屋でどら焼きを購入すると、俺は良輔の部屋の扉を叩いた。良輔の部屋は102号室だ。
しばらくして、部屋の扉が開く。
「はい?」
「おー、俺」
「――渡瀬」
良輔は俺の顔を見るなり、ぎこちなく表情を強ばらせた。
(――こりゃ、バレてるな)
内心、胃がキリキリ痛む。バレて開き直れるほど、神経は太くない。表の顔は大事だし、交遊関係だって捨てたくない。火遊びの報いといえばそうなのだが、社会的に死にたいとは思っていない。あんな写真晒しておいてなんだけど。
「どら焼き買ってきたから食わない?」
平静を装い、買ってきた袋を見せる。良輔は逡巡しながら、小さく頷いた。見た目は180を優に超え、髪を金髪にブリーチしているくせに、良輔は変に気の優しい男だ。今もどうしたものか迷った様子で、肩を小さくしている。良輔のほうが、悪いことをした子供のように見える。
「昨夜は飲みすぎちまったよな。お前、大丈夫だった?」
「あ、ああ……」
それとなく探りを入れる。良輔はどうする気なのか。このまま見なかったことにしてくれれば、俺としてはありがたい。
良輔は差し出されたどら焼きの包みを開け、「いただきます」と小さく呟いて齧り付いた。それを横目で見ながら、俺もどら焼きを齧る。
何か話してごまかそうと思ったが、良輔が深刻そうな顔をしていたので、口に出せなかった。無言でどら焼きを食う時間は、なんとなく気が重い。
「……」
やがてどら焼きがなくなり、二人とも無言になる。良輔はベッドに腰かけて、俺はすぐ隣の床に座ったまま。二人の間には微妙な空間が開いていて、それが生々しい距離感だった。
(俺は、どうしたいかな)
良輔に謝って、「俺はこういう人間なんだ」と言えるだろうか。取り繕ってきた表のキャラの分、口が重くなる。
ハァと溜め息を吐き、どら焼きの包みを捨てるためゴミ箱に手を伸ばす。
結論を良輔に任せるのは卑怯者だとは解っていた。だけど勇気がでない。
不意に、背後から腕が伸びる。
「え?」
良輔が俺の腕を掴んだ。そのまま引っ張られるようにベッドに連れられ、シーツに押し付けられる。
(――)
ドクン、心臓が鳴る。
良輔は俺のシャツを捲って、ズボンを少し引き下げた。
「っ、良……」
求めに驚くが、予想しなかった訳じゃない。こんなことは、前にもあって。やはりそんなものなのかと、少しだけ残念な気持ちになる。
だが、このまま乱暴に抱かれると思ったのに、良輔は俺の肌を見て手を止めた。
「――やっぱ、お前か。渡瀬」
「え?」
良輔はそう言うと、俺から手を離した。スマートフォンを操作し、画面を見せる。SNSに投稿した、俺の写真だ。
「あ」
尻の少し上にある、ハートの形の痣を確認されたのだと気付く。写真にはバッチリ、痣が写っていた。
(確信出来なかったのか……)
写真だけでは確信が持てず、痣を確認されたらしい。てっきり、身体を要求されるのかと思ったのに。拍子抜けだ。
(あれ? なんで痣のこと知ってるんだ)
誰かと風呂に入るのはマズい(大抵、情事の痕があるからだ)ので、基本的にシャワーしか使っていない。知られているとは思わなかった。
「えっと……。良輔?」
「……」
良輔は無言で黙り込んだ。よほどショックだったのか、落ち込んだような顔をしている。
「あ――、やっぱ、ショック?」
俺の言葉に、良輔はすぐには返事をしなかった。少し間をおいて、首を小さく振る。
「いや、そういう訳じゃ……。それより渡瀬――」
「え? そうなの?」
「そうだよ。そこは、別に」
え? マジで?
てっきり、良輔はそういうの、嫌がると思ったのに。
「ホント? 俺がアナルセックス大好きなビッチキャラでも気にならないの?」
「――っ、お前なっ!」
「だってSNSに晒しちゃうような変態だよ? 気にならないとか、嘘だよな? 流石に」
「――流石に、驚いたというか――。危ないだろ! あんなの! バレたらどうすんだ!」
「いや、今マジでピンチなう、なんだけど」
良輔の態度に少しだけホッとして、本音を話す。良輔は本気で心配している様子だった。
「バカやってんじゃねぇよ……」
「うん。そうだな」
良輔はそう言うと、溜め息を吐いて項垂れた。
「……いつから」
「あのアカウントは一年くらい前から。ヤリモクで」
「……!」
咄嗟に手が出たのか、襟を捕まれる。「お前は」と言われているようだが、声にならなかったらしい。
「いやあ、寮だと色々アレじゃない? 連れ込めねーし」
「バカがっ」
呆れたように突き飛ばされる。
「怒ってんの?」
「腹が立つだけだ」
「怒ってんじゃん」
「俺に、腹がたってんだ」
「どういうこと?」
なんで良輔が良輔に腹を立てているんだ? 全く解らない。
「……お前、マジでそうなのか?」
疑うような言葉に、眉を寄せる。確信したんじゃないのか? 信じがたいだけなのか。
「見たんだろ? 俺の裏アカ。あの通りよ」
開き直ってそう言った俺に、良輔は深い溜め息を吐いた。開いていた二人の間を、ずいっと移動して詰め寄る。すぐ隣に来ても、良輔は嫌がって逃げたりしなかった。
「俺が悪いのに、ふてぶてしいとは思うんだけど」
「ん?」
「バラさないで、貰えると……」
「言えるか、バカ」
その答えに、心底ホッとする。だが、俺としては言葉だけでは不安があった。人間、本心は解らない。今は同情的でも、いつか手のひらを返されるかもしれない。
「良輔が言わないって言う、保障が欲しいんだけど」
「なに?」
「いやあ、俺が悪いのにマジでゴメンなんだけどさ。俺も安心材料が欲しいわけ。な、友達だろ?」
「都合良く友達とか言ってないか?」
良輔がじとっと睨む。
だって仕方がないじゃないか。俺ってば他人を信用できない、性悪なんだもん。
「そんなわけないだろ? けど、一蓮托生という言葉があってだな」
「?」
「お前の恥ずかしい写真も撮らせてくれ」
「――お前」
なにを言われたのか解らない顔で、良輔が固まる。俺はお構いなしに、良輔をベッドに押し倒した。
「すまん、良輔」
良輔のスエットを、下着ごと脱がせる。俺の行動に、良輔が慌てて俺の肩を掴んだ。だが俺は良輔の膝の上に乗って、逃げるのを邪魔する。
「お前っ、ふざけろっ!?」
「すまん、すまん。写真だけだから――お」
ぷるんと転がった良輔の性器に、目が釘付けになる。
え。マジで?
「え、ちょっと待って。なにこのおちん様。百人くらい見てきたけどこんなサイズ見たことないんだが?」
「ひゃくっ……?」
「おう。百人切り掲げてた時期があってな」
「ヤメロもう、しんどい」
良輔が頭を抱える。その間に俺は間近でじっくりと良輔の良輔たる部分を観察させて貰う。
まだ勃起していないのにこのサイズ感。勃ったらどれほど膨張するのか。思わず生唾が出る。
「旨そう……じゃなくて、お前コレ、女の子引くだろ。無理じゃね?」
「うるせぇよ!」
良輔は泣きそうだった。察するに、今まで彼女が出来ても長続きできなかった敗因がここにあったらしい。
「なるほどね。良輔ってばピュアだと思ってたけど、まさかピュアだったとは」
「やかましい! 良いから、退けっ」
俺を膝から退かそうと、良輔が手を伸ばす。
「まぁまぁ」
「マジでさっさと退けっ……。お前に思いやりの心があるなら」
「あ、それはねーんだわ」
思いやりの心? なにそれ、ウケるー(笑)
良輔は真っ赤だし、精神的に参ってそうだった。可哀想に。その上、童貞だったなんて。
「写真撮って終わりにしようと思ったけど、こうなったら俺が一肌脱いでやろう」
「あ?」
「こんなん、俺ぐらいじゃないと無理だろ。筆下ろししてやるよ」
笑顔でそう言いきった俺に、良輔は顔を青くした。
「わ、渡瀬っ……」
良輔が動揺を見せる隙を突いて、俺はまだ無反応の性器を手に取った。やっぱり、かなり大きい。
「っ!」
ビクッと、良輔の膝が震える。逃げようとするが、俺が乗っかっているので動けないようだ。丁度、関節の上に乗ってるからな。
「おお、立派」
「バカ、やめっ」
今まで何本勃たせて来たと思ってんだ。軽く扱いてやると、すぐに反応を見せる。
「くっ、渡瀬っ……! おま、本気かっ?」
「本気よ。本気。お前は童貞卒業出来るし、共犯になれば秘密を守って貰えるだろ? Win-Winってやつだ」
「ふざけっ」
良輔が荒く息を吐く。俺を引き剥がそうとしていた手は、快感を誤魔化すようにぎゅっと固く握られたままだ。
(あら可愛い)
童貞食うのなんか、何年ぶりだろうか。逃げられないように太股を押さえつけながら、顔を屈めた。
「おい、何す……」
「いただきまーす」
ぱくん、と先端を咥える。良輔が真っ赤な顔で目を見開いた。
「んぅ」
口一杯に頬張らないと、とても飲みきれない。舌と唇で愛撫すると、良輔は硬く反り立った。
「んはっ、デケェな、マジで」
ちゅぱ、と唇を離し、竿に舌を這わせる。先走りの精液と唾液を絡め、手も使って愛撫を繰り返した。
「おっ、おま……」
衝撃を受けたような顔をする良輔を無視し、根本に舌を這わせる。陰嚢から竿、鈴口までを丹念に舐める俺に、良輔はビクビクと腰を揺らす。
「あっ、くっ……」
「気持ち良いだろ? 良輔」
「このっ……、バカ」
良輔の口からは悪態しか出てこない。
俺は自分のスラックスを緩め、良輔を咥えながら下着ごと脱ぎ去った。一度口を離し、粘液にまみれた唾液で指を濡らす。
普段なら少しキツいくらいのほうが好きなので、慣らさずに挿入するのだが、さすがにデカすぎる。指を自身のアナルに這わせ、フェラを繰り返しながら穴を解した。
ぐちゅぐちゅと指を動かしながら咥えていると、早く欲しくて堪らなくなる。
(寮ですんの、初めてだな)
さすがに俺も寮生に手は出せないので、寮内でしたことはない。そもそも俺、猫かぶりだし。
ペロリと先端を舐め、思わずニマリと笑ってしまう。背徳的で悪くない。裏アカがバレたときは終わったと思ったが。良輔がお人好しで良かったわ。
唇を離すと、粘液が糸になって引いた。良輔の性器はガチガチで、ピンと上を向いている。
「お、おい……、渡瀬……」
良輔の上に跨がり、アナルに尖端を押し当てる。
「っ、渡瀬っ、やめ」
「やーだ」
「お前にはモラルってもんがないのかっ!?」
今さらなに言ってんだ。
「まともな倫理観があったら、裏アカでエロ写真晒さねーって」
ぬぷっと、先端を埋め込む。肉輪を押し拡げて、ミチミチと肉棒が突き刺さる。
「んっ! キツ……」
「くっ、渡……瀬」
マジでデカいな。ホント、処女にでもなった気分。
「あ、あっ……」
太い肉棒が、腸壁を擦る。太すぎて、どこもかしこも中を擦られてるみたいだ。良輔の性器はドクドクと脈打ち、気持ち良いのかピクピク震えている。小刻みに揺れる感触が快感になって、ナカから刺激される。
「あっ、はっ……ん」
「渡瀬、ムリ、すんなっ……」
犯されている側なのに、良輔が心配そうな顔をする。おかしくなって、思わずふはっと笑った。
体重をかけ、一気に根本まで呑み込む。太い上に長い。奥まで届いちゃってるし。ぎちぎちと肉を拡げられ、苦しいが気持ち良い。
「は、あっ……。っ、良輔っ……。童貞卒業、おめでとう」
「っく、バカタレっ……」
良輔は恥ずかしそうに顔をしかめる。怒ってはいなさそうだ。心が広い。
俺はゆっくり、身体を揺らす。やわやわとした刺激に、良輔が唇を結んだ。
「良、我慢、すんなって……ん」
「くそ、何で……っ」
ずぷずぷと内部を擦られ、気持ち良くなってくる。太さのせいでアナルが捲られそうだ。良輔の視線が、繋がっている部分に注がれる。興奮しているらしく、目が赤かった。
俺は良輔に見せつけるように、脚を開いた。
「ホラ、ずっぽり根本まで挿いってるだろ?」
「っ……」
俺は持ってきていたスマートフォンを取り出し、良輔に手渡した。
「咥えてんの、撮ってよ。良輔」
「は――、はぁっ!?」
「SNSにはアップしねーから」
単純に、エロいことしてる俺が好きなだけなので、公開はしないでやる。本当は類を見ない巨根だし、自慢したかったけど。
「冗談!」
良輔がスマートフォンを投げ返す。胸に当たって、「いて」と零した。投げるなよ。
「ま、いっか。自撮りしよ」
「お、いっ」
腰を揺らしながら、スマートフォンに向かってピースする。恍惚とした表情で肉棒を咥える姿は、扇情的でなかなかエッチだ。
「あっ、ん……、良輔のっ、大きいっ……」
「っ、くそっ……」
ハァと荒い呼気を吐き出し、良輔は悔しそうな顔をする。嫌そうにされると、俺ってMだからそそるんだけど。
「これ、見てよ。限界まで拡がっちゃってさ」
穴、開きっぱなしになりそ。ヤりすぎると戻らなくなるんだよなぁ。
良輔は俺の声を聞きたくないのか、目をぎゅっと閉じて耳を塞いでいる。
(そんなんされたら、イタズラしたくなる)
無防備な顔に近づき、唇を噛んでやった。驚いて目を見開く良輔に、唇をちゅうっと吸い上げる。慌てて首を振ろうとするのを両腕で封じ、舌を捩じ込む。
「んっ! んん!」
良輔は真っ赤になって、俺の胸を押し返した。反動でベッドに倒れ込む。
「イテテ」
「ばっ、バカ野郎っ!」
唇を手の甲で拭いて真っ赤になる良輔に、唇を尖らせ不満を顔に出す。
キスは初めてじゃないだろうに。ケチなやつ。
「えい」
俺は脚を良輔の腰に巻き付け、そのまま尻を押し付けた。ぐりっとナカを抉られ、気持ち良さに喉を仰け反らせる。
「んぁっ」
「っ、渡瀬っ!」
「今度は、お前動けって」
「っ……」
良輔は迷いを見せたが、俺が腰を揺らすと、観念したように俺の脚を掴んだ。腰を引かれ、乱暴に打ち付けられる。
「ひぁっ、ん!」
じゅぷっ、じゅぽっ、と、ナカを突き上げられ、その度に声が上がる。太い楔で貫かれるような激しさに、自然に悲鳴にも似た喘ぎが漏れた。最奥を穿たれ、ビクビクと膝が揺れる。こんなに奥を責められるのも、滅多にない。
「あっ! あ! あ、あっ……!」
容赦なく突かれ、ビクビクと身体をしならせる。壊れてしまいそうだ。
「ひぅ、深っ、あっ、あっ!」
「っ、渡瀬っ……」
技術などなく、ただ乱暴に貫かれるだけだったが、質量のせいかそれでも気持ち良かった。脚を絡め、腕を背中に回す。ぎゅっと抱き締めた背中は、随分広く感じた。
「良輔っ……、良輔っ……」
名前を呼びながら、アナルをきゅっと締め上げる。良輔がビクッと肩を揺らした。
「く、おま……っ」
「ナカに、出して」
「――っ」
良輔の喉がごくりと動いた。同時に、ビクビクと震えながら、良輔が達する。痙攣しながら白濁を中に注がれ、俺も同時に果てたのだった。
ハァハァ……。
荒い息を吐きながら、シーツに突っ伏す。だらんと手足を放り出し、同じく息を荒くする良輔を見つめた。
「っ、渡瀬、大丈夫か?」
こんな時にも気遣うなんて、バカなヤツだな。と思いながら、良輔に近くに来るよう呼び掛ける。
「どうした? 痛いか?」
「キスして」
腕を伸ばしてねだったのに、くれたのはゲンコツだった。
「痛った」
「調子乗んな」
「セックスのあとの甘々キスが好きなのにぃ」
ごろんとベッドに転がっておねだりしてみたが、良輔が折れる気配はなかった。ケチめ。
「はぁ、気持ち良かった……」
まあ、セックスは良かったから良いや。それに、写真も撮れたし。これでひとまず、良輔が言いふらす心配は失くなった。
「お前さ、渡瀬」
「ん?」
「裏アカ消せ」
「えーっ?」
思わず不満が口を突く。
「えー、じゃねえ。今すぐ消せ」
「いやまあ、それは俺も思ってたんだけどさ……。ちぇ、フォロワー結構多かったのに」
アカバレした時から、消した方が良いかも、とは思っていたから仕方がない。後で作り直そう。痣でバレるとは思わんかった。今度はボカシ入れないとな。
(次作るアカは、もう少し慎重にやろ)
出会い用のアカと分けた方が良いかな。特定されたら嫌だし。
スマートフォンを操作して、アカウントを削除する。さよなら、俺の裏アカちゃん。
「ホラ、消した」
画面を見せると、良輔は納得した様子でハァと息を吐いた。それから、俺が脱がせた服を拾って着替える。
「お前も着ろ」
「えー? もう一戦しないの?」
「しねーよ!」
まあ良いけど。半分は冗談だし。
服を着ると良輔はベッドに腰かけ、頭を抱えた。
「はぁ……。マジで……」
「なんだよ。良かったろ?」
「そう言う問題じゃない……。男とヤったことにショックなのか、友達とヤったことにショックなのか……」
「両方じゃん?」
「お前が言うな」
ピシャリと返され、俺は笑いながら服を着る。笑い話にでもしなかったら、気まずいだろうが。
「ま、悪い虫にでも刺されたと思えよ」
そう言って立ち去ろうとする俺の腕を、良輔が掴んだ。
「待て」
「あん? まだ何かあんの? それとも、やっぱもう一回する?」
「黙れヤリチン」
酷え言い種。まあ、事実だから仕方がない。
良輔に促され、隣に腰かける。絶交しようという雰囲気ではない。
(なんだよ、面倒臭いな)
内心の面倒臭さを見透かされたのか、良輔がじとっと睨む。愛想笑いで受け流し、本題を言えと脇腹をつついた。
「――渡瀬、お前さ……。ホモだったの?」
「あ? いーや? アナルセックスが好きなだけで女の子の方が好きよ。男と恋愛とかないわーって感じ?」
俺は棒が好きなんであって、男には興味ないからな。
良輔は顔をしかめる。
「じゃあ、彼女作っておとなしくしてろよ。モテるクセに」
「えー? 俺、絶対に男と浮気しちゃうからムリだって。女の子可哀想じゃん」
「何でそうなるっ」
そりゃあ、良輔は『マトモ』だから解らないんだよ。とは、口にしなかった。
「俺、こんな生活ずっとやってんだよ? 今さら抜けられねーよ」
「――っ、けど、こんなことしてたら、危ない目にも遭うだろ」
そこまで言われて、俺は初めて良輔が心配して言っているのだと気がついた。
(呆れたお人好し――)
人が良いのは知っていたが、こんなクズ野郎を心配するなんて、どれだけ甘ちゃんなんだろうか。さっきは童貞まで奪われたってのに。
「まあ、後腐れない相手選んでるし、あんま気に入られたら逃げるようにはしてるよ。それと、合法でもクスリはやんねーようにしてるから。マジで平気だって」
まあ、万が一があったら、自業自得というヤツだ。
「お前っ……」
「わーかったって、良輔が心配してくれてんのは。説教は良いから」
「あのなあ!」
声を荒らげる良輔に、俺は顔を歪めて笑って見せた。
「そういうの、良いって。マジで。俺は言いふらされなきゃ良いしさ。お前だって、俺とヤったことなんか覚えてたくないだろ?」
「――」
俺の言葉に、良輔は黙ってしまった。そのまま黙っている良輔に、俺はホゥと息を吐いて立ち上がる。
「そんじゃ、これで『なかったこと』にしような」
そう言って立ち去る俺の背中に、「勝手に決めるな」と小さく良輔の声が聞こえたが、俺は聞こえないふりをして部屋から出ていった。