【試し読み】先輩いい加減にしてくださいっ! 1:意地っ張りな後輩は、エッチな先輩の魅力に負けてます

先輩いい加減にしてくださいっ! 1:意地っ張りな後輩は、エッチな先輩の魅力に負けてます

夕暮れ寮シリーズ

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 寮に帰り、電子錠を開く。門限を過ぎると閉鎖される玄関扉は、停電時や非常ベルが鳴ったときは自動開錠される仕組みだが、それ以外は登録されている電磁カードでないと開錠出来ないようになっている。俺が寮生活に置いて、嫌いな部分のひとつだ。気軽にコンビニにすら行けない。もっとも、付近にコンビニなどないのだが。
 今日は出張のため、事前申告している。不備がなければ社員証で開くようになっている。問題なく扉を開けて、玄関ホールへと入り込んだ。
 消灯時間を過ぎているため、ラウンジ周辺は暗く、非常灯の明かりしか点いていない。ホゥと息を吐いて、肩のちからを抜いた。
(吉永、起きてるかな……)
 勢いで告白したい気持ちだったが、空回りしている自覚もある。けど、あまり冷静になるとまた怖じ気づきそうだ。
(出来れば、今夜逢いたいんだけど……)
 電話してみようか。そう思った矢先だった。
「っ、航平……?」
「え?」
 共有スペースの奥から、紙コップ片手に吉永が出てきた。どうやら、コーヒーを淹れてきたところらしい。
「吉永!」
 逢いたいと思っていたところに遭遇し、思わず嬉しくなって駆け寄る。吉永は少し眉を寄せて、唇を尖らせた。
「お、遅かったじゃん……」
「もしかして、待ってたの?」
「まっ……ってないし、心配してない!」
 顔を真っ赤にしてそう言う吉永に、思わず笑う。待っていたし、心配していたらしい。ここのところお互いに避けていたから、出張だと言っていなかった。
「研修行ってきたんだよ」
「あ? 研修? ……言えよ! そう言うことは!」
「心配しちゃった?」
 揶揄するようにそう言うと、吉永はプイと顔を背ける。
「してねえっての」
 口ではそう言っているのに、顔には心配したと書いてある。何だかんだ、俺を無視していたクセに、結局は気にしてくれているのだから。
(可愛い――とか、吉永相手に。どうかしてる)
 いや、好きなんだから、それで良いのか。自分の感情に、まだ慣れない。
「なに笑ってんだよ……。おれは行くからなっ」
「あ、ちょっと」
 横から逃げようとするのを、腕を掴んで引き留める。と、吉永が手に持っていた紙カップが斜めになって、中身のコーヒーが溢れ落ちる。
「あっ、つ……!」
 吉永の太股に、コーヒーが掛かる。顔をしかめる吉永に、サッと顔が青くなった。
「吉永っ!」
「ばか、溢れただろうがっ――って」
「大丈夫かっ!? すぐに冷やさないと!」
 ヒョイと吉永を抱えだき、シャワー室へと一直線に走り出す。
「うおわぁぁっ! っおい! 航平っ!」
 吉永の手から紙カップが滑り落ち、床に転がった音がした。だが、それどころじゃない。早く冷やさなければ。
「早くしないと脚が!」
「脚かよ!」
 そらそうよ。だって脚だよ?
 シャワー室の扉を勢い良く開き、吉永を押し込める。同時に、シャワーを冷水にしてひねり出した。
「わっ! 冷たっ!」
「我慢しろ、我慢」
 勢い良くかけたせいで、脚だけでなく上着も、ついでに俺も濡れるが気にしている場合じゃない。
「冷てーって! 大丈夫だから!」
「痕に残ったらどうする」
「――残ったら、ダメかよ」
 吉永指先が、震えていた。シャワーが冷たかったからだろうか。それとも。
「ダメじゃねえけど。傷があったって、火傷があったって、構わないけど」
「―――」
 無言で俺を見つめる吉永に、ズボンの方に手を掛けた。ビクッと、吉永が震える。
「っ、航平……」
「痕、見るから」
 ズボンのボタンを外し、ゆっくりと下ろしていく。濡れているせいで、脱がしにくい。濡れた衣服が肌に貼りついて、目のやり場に困る。
 白い太腿が晒される。少し赤くなっているが、大事にはなっていないようだ。ホッとして撫でまわしていると、吉永がビクンと身体を揺らす。
「っ、こうへ……」
「ちょっと赤くなってるけど……」
「平気、だからっ……」
 ふと、下着の方に目線を向けると、水で透けた下着の向こうで、僅かに主張し始めたのが目に入る。吉永は慌ててしゃがみ込み、膝を抱えてしまった。
「あっち、行けっ……!」
「吉永」
 膝を抱えて顔を伏せた吉永に、そっと近づこうとする。が、吉永の腕がそれを遮った。
「行けよ! 行けって!」
 バシッと胸を叩かれ、押し黙る。シャワーの音が、やけに響いた。
「――」
 吉永が睨む。泣きそうな顔で、目を赤くして睨む吉永に、唇を結んだ。俺が、こんな顔をさせている。俺が、吉永を傷つけてる。
「吉永」
「っ…、離せっ……」
「吉永っ……!」
 ぐい。腕の中に抱き留め、ぎゅっと抱きしめる。吉永が、息を呑む気配があった。
「――っ、離せ、よっ……! 航平っ……、おれが、どんな……」
「ゴメン」

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