おまけSS:冒険者ギルドで賑やかデート争奪戦

冒険者ギルドで濃厚なサービスやってます♥

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今日も冒険者ギルドは活気に満ち溢れていた。依頼を終えた冒険者たちの報告の声、酒を酌み交わす陽気な笑い声、そして、僕の『濃厚なサービス』を求める囁き声……。

そんな賑やかなギルドの片隅で、僕はいつものように薬草の整理をしていた。すると、ひときわ熱い視線を感じて顔を上げると、そこにはお馴染みの五人が集まっていた。

ライオスさん、クロウ君、ゼオンさん、ガストンさん、そしてシオン。僕にとって、最も大切な常連さんたちだ。

「ルカ、この前の依頼で手に入れたんだが、珍しい宝石を見に行かないか? 街の宝飾店に飾られているらしい」

そう切り出したのは、ライオスさんだった。彼の視線は真っ直ぐで、僕の心臓がドキリと跳ねる。デートのお誘いだ。

「えっ、宝石ですか? ぜひ!」

僕が目を輝かせると、間髪入れずにクロウ君が僕の腕を掴んだ。

「ずるいよ、ライオスさん! ルカさん、それよりさ、俺と二人で森に新しい素材を探しに行こうよ! 珍しいキノコとか、きっと見つかるから!」

クロウ君は無邪気な笑顔で僕の袖を引っ張る。彼の瞳は、本当に森での冒険を楽しみにしているようだった。

「キノコ探しも楽しそうですね!」

僕が答えると、今度はゼオンさんが優雅に、けれど有無を言わさぬオーラを放って口を開いた。

「ふむ、キノコも宝石も良いが、ルカ。最近、街に新しいカフェができたらしい。そこで、ゆっくりと魔法談義に花を咲かさないか? 君の好きな甘い菓子も用意されていると聞く」

ゼオンさんの誘いは、いつも知的で、僕の好奇心をくすぐる。カフェで彼と二人きりなんて、想像しただけで頬が熱くなる。

「カフェですか! ぜひ行きたいです!」

僕が喜んでいると、その背後から、無言の圧力が迫ってきた。振り返ると、ガストンさんが腕組みをして立っていた。彼は何も言わないが、その大きな瞳が僕をじっと見つめている。その視線が訴えかけるのは、「俺もルカと二人で過ごしたい」という、言葉以上のメッセージだ。

「ガストンさんも、どこか行きたいところ、ありますか?」

僕が尋ねると、ガストンさんは「……訓練場。お前の回復で、俺の剣技がさらに上がる」と、ぼそりと言った。訓練場……? っていうかそれ、もう『濃厚サービス』だよね。もう、ガストンさんったら……♥

そんな中、静かに様子を見ていたシオンが、僕の前にスッと移動した。

「ルカ、俺は、お前と二人で、静かな湖畔で弓の練習をしたい。……鳥のさえずりを聞きながら」

シオンの提案は、彼らしくクールで、少しロマンチックだった。湖畔で二人きり、鳥のさえずりを聞きながらなんて、想像するだけで心が穏やかになる。

「ええっ、湖畔もいいですね……!」

五人それぞれの誘いに、僕は完全に板挟みになってしまった。誰も譲ろうとしないし、みんなと一緒に過ごしたい気持ちもある。でも、デートはやっぱり二人でするものだよね……?
僕が困り果てていると、ライオスさんが一歩前に出た。

「ルカ、やはり俺と行くのが一番だ。宝石を見れば、お前の感性も磨かれる」

「いやいや、ルカさんは俺と森の方が楽しいって! な、ルカさん?」

クロウ君が僕の顔を覗き込む。

「君は知的な刺激も必要だ、ルカ。カフェでゆっくりと語り合うべきだ」

ゼオンさんが冷静に反論し、ガストンさんが無言で僕に圧をかけ、シオンが静かに僕の手を取ろうとする。

収集がつかない五人の争いに、僕はとうとう耐えきれなくなり、満面の笑みで、けれど少し強引に、最高の(?)提案をすることにした。

「皆さん、あのっ……! 五人で行きましょう!」

僕の提案に、五人は一瞬、固まった。そして、互いの顔を見合わせ、やがて全員が吹き出した。

「ははは! それも悪くないな、ルカ!」

「うん! それなら、みんなでルカさんと遊べるね!」

「五人で談笑するのも、また一興か」

「……ああ」

「……それも、いい」

結局、僕たちは五人全員で、まずは街の宝飾店を冷やかし、その後、森でキノコを探し、途中で見つけたカフェで甘いお菓子を食べ、帰り道に訓練場でガストンさんと素振りを見て、最後に湖畔で鳥のさえずりを聞く、という、盛りだくさんな一日を過ごすことになった。
まあ、それだけで済むわけがないのは、想像通りだったけどね……♥

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